屋久島の山行記録/関西の山の会会員募集「山があるクラブ・U」登山クラブ

山行記録

屋久島白谷雲水峡、縄文杉探勝および黒味岳ー宮之浦岳ー永田岳ー花山歩道縦走

2012年6月4日(月)〜7日(木)

64日(月)雨
 伊丹、鹿児島は曇りでしたが屋久島に着くと雨、レンタカーで白谷雲水峡へ向かいました。
 入り口のイラストマップには増水危険箇所のマークが付いていました。白谷川は雨で水かさが増し、白く濁った川の流れは強く速くあちらこちらで滝のような水しぶきをあげていましたが露岩に咲く谷ツツジのオレンジ色は心を和ませてくれました。川沿いの大きな花崗岩の上を滑らないように登って遊歩道を歩いて行くとたっぷりの水を含んだ苔の森の中に二代杉、二代大杉、三本足杉など自然が造ったおもしろい形の巨大杉がありました。
 増水している川の手前で引き返し、車で民宿「杉の里」へ、夕食はとびうおの姿揚げ、きびなごの刺身、畑で採れた野菜やフルーツを使った盛りだくさんな料理を美味しくいただきました。


   
         白谷雲水峡 花は谷ツツジ(サツキ)                  白谷雲水峡の森 三本足杉周辺

65日(火)雨
 今日も雨。民宿からバスで屋久杉自然館へ、シャトルバスに乗り換え荒川登山口へ。
 縄文杉トレッキングは森林軌道敷歩きに始まりました。橋を渡りトンネルを抜け、安房川沿いに上流へ向かい黙々と歩きました。雨降りで軌道敷には水が溜まり、右側は川に向かって急な崖で左側の谷や崖からは水がシャワーのように勢い良く流れ落ちている所があり、始めは水溜りを除けながらレールの外に出たり入ったりして歩いていましたが滑ってこけたので靴が濡れても安全第一とじゃぶじゃぶ真ん中を歩きました。まるで沢歩きをしているようでした。橋をいくつか渡りましたが橋の上から見る安房川の濁流は滝のように勢いよく橋を渡る時には体が落ちて流れに吸い込まれるような気がして足がすくみました。

  
     安房川の支流の奔流                     縄文杉で

 小杉谷集落跡を過ぎ楠川歩道出合いを過ぎると苔の着いた大きな杉が現れ森深くなってきました。三代杉、仁王杉と大きな杉が現れ、左に大きな石が見えると安房川の濁流が覗けました。森林軌道が終わり大株林道に入ると丸太階段やはしごがかかった急な登りになり原生の森に入っていきました。深くて暗い森です。木の根が露出しています。苔が着いていて滑らないように気をつけて歩きました。翁杉の次にお目当てのウイルソン株が現れると早速中に入り腰をかがめて空を見上げハート形を確認しました。神社が祀られ湧き出ている清水で喉を潤し延命を願いました。
 大きく堂々としている大王杉、手をつないでいるほほえましい夫婦杉と続き、縄文杉はどんなに大きいのだろうとわくわくして足を進めました。まだかなまだかなと登り下りを何回も繰り返してふと見上げると展望台のようなところがありその階段を上がってやっと縄文杉に会えました。こんな奥深い所で何千年も居るなんて!他の潅木を寄生させながらも葉を繁らせ生き続けている生命力に感動!今日初めてカメラを出し撮影しました。近くの東屋で休憩してから同じ道を帰りました。
 民宿に帰り濡れた衣類を乾かし、アサヒガニ、スターフルーツなど珍しい地元の食材を使った料理を今日も美味しくいただきました。

66日(水)晴れ

台風も外れて快晴となり空気が澄んで山日和です。タクシーで淀川登山口へ。途中で立ち寄った紀元杉には着生したシャクナゲが花を咲かせていました。
 今年はさくらつつじが全く花が咲かなかったと聞き、これから登る山中でシャクナゲはどのくらい咲いているのだろうか?と期待を膨らませます。
 登山道は木の階段で始まり木の根が露出した樹林帯を登り下り湿地帯を抜けたところに淀川小屋がありました。清らかな水と水面に写った緑が美しい淀川橋を渡り大きな木に覆われた道を登っていくと豆腐を切ったような岩が山頂に乗っかっている高盤岳がよく見えるところがありました。展望のきく大きな岩の上に立つと眼前に広がるシャクナゲや新緑がまぶしいくらいです。満開のサクラツツジも見つけました。
 今日は太陽面金星通過の日です。日食眼鏡で観察しましたが金星は小さ過ぎて太陽だけしか見えませんでした。

  
 金星の太陽面通過(9:06 左少し下の点が金星)        岩の黒味岳頂上からの永田岳、宮之浦岳および翁岳
 高盤岳展望台で日食フィルターを付け200mm望遠
 で撮影

 ここからさらに登り下ると木道のついた小花之江河湿原に着きました。トウフ岩も見えています。松のような枝ぶりに見えたのは全部杉でした。もうひとつ尾根を越えると花之江河で正面にこれから登る黒味岳が見えました。五つの登山道が合流しているところです。尾根を登り分岐から空身でロープのついた岩場をいくつか越えて大きな岩のある黒味岳頂上へ着きました。こけし岩の向こうに開門岳がはっきりと見え、すばらしい展望でした。下る時にはヒメコイワカガミ、ヤクシマコケスミレの小さくて可愛い花が岩陰に咲いているのを見つけました。眼下には花之江河の湿原が小さく見えました。

  
  黒味岳から北方のこけし岩と開聞岳を望む          黒味岳頂上のヒメイワカガミ

 分岐に戻り黒味岳の東斜面を回りこむようにロープが掛かる岩場を登ると投石平で水が流れて気持ちよいところです。ここから見る黒味岳は岩が点在して美しいです。
 稜線をしばらくたどり左に下ったところが小楊子川源流で、小川が流れ見通しがよく気持ちの良いところです。ヤクシカが無心にヤクシマタケを食べていて人が近づいても全く驚かずのんびりしたものです。このあたりからシャクナゲの花が眼につくようになってきます。点在する岩やヤクシマタケの緑とよく合って庭園のようです。翁岳や栗生岳のユニークな岩の山やシャクナゲの写真を撮るのに忙しくなってきました。正面には宮之浦岳山頂の大きな石が見えてきました。稜線上にはどこも水が流れ陽射しはきつくても涼しげな気分です。素晴らしい景色にウキウキしながら歩いていたのであまり苦しい思いもせず宮之浦岳の一等三角点のある頂上に着きました。
360度見渡せる頂上、見下ろす海は穏やかで永田岳の鋭い峰はすぐ目の前に迫って登高欲がそそられます。雲母がキラキラ光って岩面に埋め込まれたダイヤモンドのように見えました。
 永田岳へは一旦下って登り返しますがその間にも満開のシャクナゲが見事に咲き揃っていました。ヤクザルの家族が岩の上に座っていました。夫婦なのか
2匹は仲良く並んで同じ動作をするので思わず笑ってしまいました。
 永田岳も岩の山です。頂上から見える景色は障子岳の険しい岩壁が連なり中国の山水画のように思えました。北には形の良い国割岳の向こうに口永良部島が浮かんでいました。

  
   宮之浦岳頂上付近からの永田岳           宮之浦岳西面からのネマチW峰

  
    ヤクザルの家族 背景は黒味岳            永田岳西面から西の国割岳と口永良部島を見る 


 鹿之沢小屋に下っていく途中の山の斜面はアセビの茶やユズリハの黄緑、ヤクシマタケの緑、シャクナゲの白、ピンク、紅色、ろうそく岩やいろんな形の岩がまるで計算されたように位置決めをしていて大自然の芸術は素晴らしいと思いました。海を見ると少し朱色に焼け始めていて波はおだやかです。
 小屋近くになると足場の悪い道を下ります。小屋も貸切で水場で汗を流し日が暮れないうちに夕食にしました。夜中には鹿の鳴き声が聞こえていました。

   
    シャクナゲ等の見事なしとねが広がる               石壁の鹿之沢小屋、40名程度泊まれる

67日(木)晴れのち曇り

花山歩道は背丈より高いシャクナゲのジャングルを下り始めます。小屋より一旦登り返してから所々ロープのついた足場の悪い道を下って行きます。大石展望台では七五岳がよく見えましたがそれ以外はずっと薄暗い巨樹林帯です。屋久島の中でも特に原生自然の状態を維持している地域だそうです。巨大な杉と苔の花山広場、ハリギリの大木、大竜杉は見つけられず通り過ぎてしまいましたがいろんな巨木が混在しています。足元にはフタリシズカやマムシグサが咲いていました。
 昨日の明るい稜線歩きも楽しかったけれどもワイルドな樹林帯歩きも気分が落ち着いて好きでこの深閑とした森の中をずっと歩き続けていたい気分でした。
 大川林道に出てからの歩きは長くて足裏が疲れて痛くなってきた頃、海岸線のすぐ近くの県道に出ました。大川の名水を汲み、大川の滝まで歩きました。落差
88mですぐ下まで行くことができマイナスイオンをたっぷり浴びました。携帯が繋がらずヒッチハイクで栗生へ行きタクシーを呼び民宿に預けていた荷物を受け取り空港近くの「まんてんの湯」で汗を流し帰路につきました。
 4日間、屋久島のビッグな山中に包まれゆったりと気持ちよく楽しく過ごせました。生命力のあるたくさんの巨木からパワーチャージでき元気を分けてもらったような気がします。ありがとうございました。 (岡村)

   
    花山広場の杉等の巨木                最終地、大川の滝に到着

参加者 会員3名(清水、村上、岡村)

歩行距離
 総計                     58.6km
 白谷雲水峡往復              2.5km              
 縄文杉(荒川登山口ー縄文杉)往復  26.6km
 淀川登山口ー宮之浦岳ー大川の滝 29.5km (内訳 淀川登山口ー鹿之沢 13.5km、鹿之沢ー大川ノ滝15.6km)



コースタイム

6月4日(月) 6月8日(火) 6月9日(水) 6月10日(木)
伊丹空港(集合/発) 07:10/7:40 安房(杉の里) 05:20 安房(杉の里) 05:30 鹿之沢小屋 05:55
 JAC2401 盛久神社前 05:30/05:38  タクシー 大石展望台 07:00/07:10
鹿児島空港 09:00/10:40  バス 淀川登山口 06:20/06:25 花山広場 08:20/08:25
 JAC3745 屋久杉自然館 05:45/06:00 淀川小屋(朝食) 07:10/07:35 730m地点(昼食) 10:30/10:50
屋久島空港 11:15/11:30  シャトルバス 高盤岳展望台 09:00/09:15 大川林道 11:25/11:30
 レンタカー 荒川登山口(朝食) 06:30/06:55 小花之江河湿原 09:25/09:30 大川の滝バス停 13:15/13:25
白谷雲水峡入口(昼食) 12:00/12:30 小杉谷集落跡 07:45 花之江河湿原 09:35/09:45 大川の滝 13:30/13:50
三本足杉 14:00/14:10 楠川分かれ(トイレ) 08:15/08:20 黒味岳分岐 10:00/10:05 栗生 14:00/14:30
白谷雲水峡入口 15:25/15:40 大株歩道入口 09:20/09:30 黒味岳 10:35/10:50  タクシー
 レンタカー ウイルソン株 09:55/10:05 黒味岳分岐 11:10/11:15 まんてんの湯 15:15/16:55
安房(食料買物) 16:30/16:55 縄文杉(昼食) 11:15/11:50 投石湿原(昼食) 11:45/12:20 屋久島空港 17:00/17:45
安房(杉の里) 17:10 ウイルソン株 12:50/12:55 小楊子川源流 13:05/13:35  JAC3758
大株歩道入口 13:10/13:15 宮之浦岳 14:15/14:50 鹿児島空港(夕食) 18:20/19:05
楠川分かれ(トイレ) 14:10 焼野分岐 15:20  JAC2414
荒川登山口 15:30/16:00 永田岳鞍部 15:45/16:00 伊丹空港(着/解散) 20:25/20:40
 シャトルバス 永田岳 16:35/16:45
屋久杉自然館 16:30/16:35 ローソク岩展望台 16:55
 タクシー 鹿之沢小屋 17:45
安房(杉の里) 16:45



  

                  縄文杉へのトラック地図



           淀川登山口〜黒味岳〜宮之浦岳〜永田岳〜鹿之沢〜花山歩道〜大川ノ滝へのトラック地図    



                宮之浦岳〜永田岳〜鹿之沢の詳細トラック地図
これらの背景地図等データは、国土地理院の電子国土Webシステムから配信されたものである。